水害から町を守る

揖保川の特殊堤防畳堤(いぼがわのとくしゅていぼうたたみてい)

兵庫県西部を流れる日本有数の暴(あば)れ川として有名な揖保川の緊急時の防災対策として、40年以上も前に考えられた特殊な堤防です。普通の土石・コンクリートなどでできた堤防とは違い、一見、橋の欄干のように見えるフレームが並び、川の景観を損ねません。住民の意見が反映された環境への配慮と、住民の防災自治の意識の高さが実を結んだ堤防といえます。

なぜ普通の堤防と違うのか?
そこ幅が広い台形型に土を盛ったのが一般的な堤防の形です(図1)。畳堤が造られた地域は川から住宅までの距離が大変短く、土手が造れないのでコンクリート壁を堤防の上に造りました。このような堤防を特殊堤といいますが特殊堤の場合通常は、コンクリート壁になるところ揖保川では、畳を差し込む枠だけの欄干のような堤防です。地域の自治意識は高く、万一の時は住民の手で畳を持ち寄り、堤として機能させます(図2)。

もし畳堤がコンクリートを立ち上げただけの堤防だったら・・・?
揖保川の美しい景観は損なわれ、暗く圧迫感を感じる堤防になっていたことがシュミレーション写真を見るとよく分かります。
畳堤になったいきさつ
昭和22年(1947)、龍野市龍野町長末広氏より特殊堤(パラペット)設置の提案が出されました。当時、姫路工事事務所長だった玉井正彰氏、工事主任の藤原玉造氏らが長良川の畳堤を見学するなどして、特殊堤でしたが「普段は揖保川が眺められるように枠だけにしてほしい。防災はみんなで行うもの、洪水の時は自分たちも畳を入れて協力する」という周辺住民らのたっての要望により、現在の畳堤となりました。

揖保川の畳堤のある箇所


龍野町 2721.0b
揖保川町 253.4b
御津町 159.0b
総延長  3100b余
たつの市龍野町
 
たつの市揖保川町
 

 
資料引用
国土交通省近畿地方整備局姫路河川国道事務所
パンフレット「話そうはりま・揖保川の特殊堤防 畳堤」